製品・サービス開発の仕事について考えてみる

私は、BtoBの製品開発の仕事をしている。

開発といっても技術開発(technical development)という意味合いであるが、会社の方針的に、開発者が製品戦略から製品企画、そして製品設計まで手がける感じになっている。

※もちろん、メインの仕事は製品設計と製品企画が中心

そんな守備範囲の中で、開発の仕事というのは、本質的にどのような事なのか、結構整理されていなかったなと最近思った。
それは次に書くデザイン思考という手法について書かれた本で読んだときのことだった。。。


デザイン思考が適用される仕事


デザイン思考は、イノベーションの方法であり、社会変換するための手法を言う。

では、具体的にどのようなことなのかというと、
IDEOのティムブラウン氏著「デザイン思考が世界を変える」を引用すれば、

「デザイン思考家の仕事」とは、人々が自分でさえ気がついていない内なるニーズを明らかにする手助けを行なうことだ。

ということになるだろうし、日本で先駆的にデザイン思考を広めている棚橋氏著の「デザイン思考の仕事術」を引用すれば、

・・・ティム・ブラウンは、デザイン思考を「デザイナーの感性と手法を用いて人びとのニーズと技術の力を取り持つこと」あるいは「現実的な事業戦略にデザイナーの感性と手法を取り入れ、人々のニーズに合った顧客価値と市場機会を創造すること」

ということなのだろう。

この二つの本でも記載されているが、デザイン思考は経営者や技術者にも注目されていて、それは必要なものであると記載されている。

私も異論はないのだか、問題は、どの人に使える手法ということではなく、経営者や技術者のどのような仕事に使われているのかが、私の中でなかなかうまく整理できていなかった。

これは、私自身、開発の仕事が本質的にどのようなことなのか整理できていない証拠だと思い、改めて、私が行っている開発業務について考え直してみた。



開発の仕事:全体像



究極的に、開発の仕事はなにかというと、「売れる製品やサービスを作ること」である。
さらに詳しく見ると、下記のようになると思われる。


・サービスと製品を作るプロセス
・顧客が自社のものを買ってくれるための差別化要因つまり独自性を考えるプロセス


でも、どのようなサービスと製品を作るのか?どのような独自性を持つべきなのか?という疑問がわいてくる。
だから、上記は、間違えていないけど足りない情報があると考えている。
その情報は、抱いた疑問の通りで、サービス・製品や独自性に変化させる入力が何かというところではないか。
だから、入力と出力の関係図、不足している入力の内容を付け足して開発の仕事の全体像を書いてみた。


下図の各四角で囲ったところを結びつけている矢印が、本質的な開発の仕事だと私は整理した。
なので、仕事内容は、以下の4つ。

「ニーズを需要に変化させるサービスや製品を考える」

  → ユーザーにとって解決すべき課題を発見すること。
    先ほどの、デザイン思考は、この箇所を中心に適用されることになるかと思う。


「他社を差別化できる独自性からサービスや製品を考える」

  → 自社の強みは何かを考え製品開発の制約条件にする。
    製品に独自性がなければ、他社に真似されてしまい、
    その会社が存続している社会的理由がそんなにないとまで言える。


「ニーズから投資すべき独自性(コア技術など)は何かを考える」

  → 顧客の価値観やニーズは時代や環境によって
    変化するので、ニーズを見いだしたのであれば、
    投資すべき独自性にもフィードバックすべきだ。


「事業領域から投資すべき独自性(コア技術など)は何かを考える」

  → 開発者にとっては、事業領域は絶対公理のようなもの。
    なので、独自性を考える場合は、事業領域から演繹的に導かれる
    必要があり、それを制約条件にすべき。
    上記のニーズから独自性を考えるとき、事業領域の制約から外れる事は
    全社的に許されないだろう。