テルマエロマエに見る ガラパゴス文化輸出

今日はレイトショーで注目の映画「テルマエロマエ」を見てきた。

テルマエロマエは、人気漫画を映画化したものです。
内容は、すっごく簡単に書くと以下のような感じです。

古代ローマの浴場設計士ルシウスが、ひょんな事から現代の日本へタイムスリップ。
日本のお風呂・トイレ文化を見て驚愕し、その面白い技術を古代ローマへ持ち帰って浴場を設計する・・・。

ストーリー仕立てもかなり面白いのですが、特に感心したのが、ウォシュレットなど日本のガラパゴス技術をちょこちょこ紹介していて日本の文化を映画でうまく発信していたことです。

これは、日本独自で育ってきた製品やサービスを、世界に使って貰うひとつの良い方法だとひらめきましたので、
考えた事をまとめてみたいと思います。


文化による障壁


日本の電化製品は最近台湾・韓国のメーカーに、パイを大きく奪われる現状は様々なメディアで取り上げられている。
それは、日本の製品差別化がまったくできず、しかもコストが高いのであれば、日本の製品に魅力を感じないのはある意味当たり前でしょう。

しかし、今回注目したいのは、日本独自で育っている製品が、海外でまったく受け入れられていないということです。

例えば、ウォシュレットなんてのは、有名なケースだと思います。ウォシュレットが世界で普及しない理由として、日経ビジネスにこんなことが書いてあります。

「水で洗った方がきれいに汚れが落ちますよ」というロジックは世界共通で理解していただけます。かつて「おしりだって洗って欲しい」というCMがありましたが、本質は変りません。現在、日本ので温水洗浄便器の普及率は約7割です。しかし、これだけ普及するには20年以上の長い時間がかかっているんですね。銀座の飲み屋さんに置いてもらうなど、地道な活動をしていた時期もありました。

これは明らかに文化の違いが障壁になって、普及にいたっていない例だと思います。

今までは単純に製品だけ輸出され、文化が輸出されていないから、その製品を使ったときに生じる生活の質の変化に気がつけないのではないか、そんな問題がありそうだと、今回改めて思っています。


日本の生活・文化の可能性


一方、NHKのBS番組クールジャパンとか見てると、海外の方から見た日本人像って結構面白い。宇宙食のようなインスタント食品は良く食べることや、ウォシュレットを使っている事、時間に正確な電車システムなど、日本人の生活スタイルや文化は、特別でかなり興味を持たれているようだと感じます。

具体的には、下記の記事に、日本の生活や文化に対する特別感を見いだせると思います。

「英国人記者が見た日本の不思議」
http://news.livedoor.com/article/detail/6324368/

「日本のインスタント・ドリップコーヒーを絶賛する海外の人達。」
blog.livedoor.jp/zzcj/archives/51750080.html

キットカットの種類の多さに感動する外国人」
http://blog.livedoor.jp/panda_translator/archives/51968661.html

「日本人はイッちゃってるよ。あいつら未来に生きてんな」
http://www.paradisearmy.com/doujin/pasok_mirai.htm



また下記サイトから、生活・文化レベルでみると、いかに日本は特別視されているか分かる。

「日本は『クールジャパン』として世界に認知されているのかGoogle先生に聞いてみた」
http://blog.livedoor.jp/nipponwarota/archives/6669799.html


これはまだまだ可能性がありそうな予感です。




韓国の文化産業振興


では、文化をうまく売り込んだ韓国の例を見てみたいと思います。

韓国は、金大中政権で、韓国の文化を輸出することを目的に、韓国映画産業を中心に文化産業振興を国策にしています。(1998)
これは、「『 病院』がトヨタを超える日」という本で初めて知ったのですが、本文ではこんな事が書いています。

1998年、当時の金大中大統領は、映画を中心とした文化産業の振興を国策として定めました。
彼がアメリカ亡命中にハリウッドがもたらす経済効果を目の当たりにしたからだと言われています。

アメリカ経済が強いのは、ハリウッドを通じて「アメリカ文化」が全世界に輸出されているからだ。ただモノを売るだけでは限度がある。まず先に「韓国文化」を売り込んでこそ、韓国製品も売れるようになるのだ -という発想です。


これが本当であれば、金大中元大統領はかなり先見性があると思われます。
現在の韓流ブームにより、韓国経済がかなり恩恵を受けていることは間違えないでしょうし、文化自体も日本の生活に取り入れ始めています。例えば、韓国料理は、結構良く食べるようになりましたし、キムチは日本の家庭料理の普通になっている気がします。


魅力ある未来の生活をつくる


Apple社は、ipodiphoneを通じて、新しい生活スタイルを提供してきており、製品自体が世界中の生活の普通になっていて、ある意味生活の中心的な役割も果たされているような気がします。

それは、Apple社が、目指すところが、「未来にある普通のものを作ること」であるのだと、上杉氏の有名なツイートからも読み取れます。

https://twitter.com/#!/chibicode/status/33769337827368960


実は、独特の文化を持つ日本においても、魅力ある未来の生活スタイルを開発し、輸出する国へと変貌していくことは新たな可能性なんではないかと思う。

そのための第一歩として、海外の方に、特別な生活を体験したいと思っていただけることが重要だ。
それには、うまく文化の輸出をすること、ここから始める必要があると今回映画見て思いました。